アンパンマンの著者として有名なやなせたかしさんの絵本です。

やさしいライオン (フレーベルのえほん 2)
やさしいライオン (フレーベルのえほん 2)


やなせたかしさんは1919年生まれなので、90歳を超えています。「行く(19)行く(19)人がベルサイユ」の語呂合わせで覚えたベルサイユ条約の調印の年に生まれたということになります。


今年、やなせたかしさん作詞の「アンパンマンのマーチ」は東日本大震災で被災された方々に生きる勇気を与えました。

「手のひらを太陽に」の作詞もやなせたかしさんです。この曲を作詞した時の逸話も感動します。仕事面で落ち込んでいた時期に徹夜をしていて、懐中電灯で手のひらを照らすと、血の色が真っ赤で生きていることを実感したというものです。


そんな、生きることに勇気を与えて来たやなせたかしさんの絵本です。この絵本では死を通して、何かを伝えようとしています。

みなしごのライオンのブルブル、お母さん代わりに育てるムクムク。愛情を持ってブルブルを育てるムクムク、2匹は離ればなれにされ、悲しい最後を迎えます。


親子の愛を通して、無情な死によって生きることを考えさせられると思います。

そして、人間の身勝手さに対する警告が含まれていると思います。親子にさせたのも人間、離ればなれにさせたのも人間、死を迎えたのも人間。すべて人間の都合だけでブルブルの一生が振り回されます。

死によって、やっと自分の自由を得られたのです。