遠野市土淵町にある連峰山常堅寺(曹洞宗)の裏には「カッパ淵」があります。「カッパ淵」は河童が住んでいたと言い伝えのある淵です。
河童渕 


「遠野物語」には河童が登場する淵がいくつか登場しますが、最も有名なのが常堅寺裏の「カッパ淵」です。

「カッパ淵」には常堅寺の境内を通って向かいます。

常堅寺の威厳ある山門には風格がある仁王尊像二体が鎮座しています。常堅寺山門

仁王尊像 阿像
仁王尊像 阿像

仁王尊像 吽像
仁王尊像 吽像

この仁王尊像2体は旧妙泉寺(現在の早池峰神社)に祀られていたもので、明治の神仏分離令の廃仏毀釈により、常堅寺に移されました。江戸時代の作だそうです。明治の神仏分離令では廃棄された仏像も多かったようです。素晴らしい像ですので、信仰ある人たちが残したのだと思います。
仁王尊像案内板

案内板によると、一関市大東町大原にある長泉寺の末寺だそうです。 延徳2年(1490)開創で、開基は大原弾正勝行とあります。「遠野物語」88話には遠野郷の曹洞宗12カ寺の筆頭であると記されているそうです。
常堅寺案内板

本堂


境内には「カッパ狛犬」が安置されています。
カッパ狛犬

頭の上には皿があって水が溜まっています。なぜか?お賽銭が入れられています。
カッパ狛犬

常堅寺が火事になった際に頭の皿から水を吹き出して消しとめたそうです。かっぱ狛犬としてその姿をとどめているそうです。
河童



常堅寺の裏にまわると「かっぱぶちばし」という橋があり、橋を渡って「カッパ淵」に向かいます。
かっぱぶちばし


遠野の河童は顔が赤いと聞いていましたが、この案内板にも書かれていました。「遠野物語」には59話で「外の地にては河童の顔は青しというようなれど、遠野の河童は面の色赭(あか)なり」とあります。
遠野の河童は寒さのせいで"しもやけ"にでもなったのでしょうか?
かっぱ渕


「かっぱ淵」の横には稲荷堂がありました。どこか趣のあるお堂です。稲荷堂は約400年前に勧請されたものだそうです。この地に居を構えた安倍氏に由来するお堂です。
稲荷堂

稲荷堂


「遠野物語」68話に「安倍氏という家ありて貞任の末なりと云う。昔は栄えたる家なり。今も屋敷の周囲には堀ありて水を通ず。刀剣馬具あまたあり」とあります。
平安時代後期に北上川流域に勢力を誇った安倍氏の一族(貞任の弟・北浦六郎重任)が屋敷を構えたと伝えたられているようです。
安倍(阿部)氏屋敷跡

阿部屋敷


カッパの釣り竿置き場がありましたが、肝心の釣竿がありませんでした。冬は釣れないのかな?
カッパの釣り竿置き場


小さな祠があります。カッパの神を祀っているそうです。乳の神だそうで、母乳の出がよくなるよう祈願する人が多いそうです。祠には赤い布で乳房を模ったぬいぐるみが奉納されています。
カッパの神の祠



私が行ったときには観光客の方が帰ったところで誰もいませんでした。冬には訪れる人が少ないのだと思います。
誰もいませんでしたので、河童が現れたらどうしよう?と少しドキドキしながら(笑)、渕に近づいて写真を撮りました。
河童淵

きれいな水が流れています。何でもないような川ですが、神秘的な雰囲気がある場所です。
河童渕 


「かっぱ淵」が有名ですが、常堅寺の仁王尊像、安倍屋敷跡などの発見がありました。

河童が居た頃とそんなに風景が変わっていないのではないかなと思いながら、ぼんやりと淵を眺めました。



より大きな地図で 常堅寺と「カッパ淵」(遠野市土淵町)。 を表示